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【イベント・レポート】鉄道写真家・荒川好夫さん×鉄道ライター・池口英司さんトークショー


去る8月28日(日)、東京・神保町の書泉グランデさんにて、鉄道写真家・荒川好夫さん×鉄道ライター・池口英司さんトークショーが行われました。
心配されたお天気も、何とか持ちこたえました。
書泉グランデさんは、言わずと知れた「鉄道の聖地」であり、メディアックスの鉄道シリーズも毎回大々的に扱って下さっています。
鉄道ご担当のAさんとは、かねてから「いい企画があれば、是非イベントをやりましょう」と話していましたが、ついに実現しました。
今回のイベントは、『甦る蒸気機関車』及び『郷愁の蒸気機関車』の刊行を記念して行われました。
荒川好夫さんは、蒸気機関車の写真を中心に活動されて来た鉄道写真の大家です。
鉄道ライターとして大活躍されている池口英司さんは、メディアックスの鉄道シリーズでもお馴染み。
更に、特別ゲストとして、今回のムックの付録DVDに収録されている8ミリ映像を撮影された畑野純夫さん。
いずれも、蒸気機関車を知り尽くした方々です。
そんな方々の話しを聞こうと、開場前から既に列が出来るほど、熱心なファンの方々が大勢集まりました。
中には、女性の方もいらっしゃいます。
イベントは、池口さんの「本日はお忙しいところお越し頂き、ありがとうございます」というご挨拶からスタート。
前回、有隣堂本店さんで行われた「京急『名物』広報・飯島学さんトークショー」でMCを務めて下さった池口さんは、さすがの手慣れた進行振りです。
「せっかくお越し頂いたので、撮影やムービーの参考にして頂きたい。どんどん質問して下さい。」
普通のイベントでは、トークショーの後、付け足しのように質疑応答の時間が少し設けられるだけですが、今回のイベントは、出来るだけご来場の皆様にも参加して頂けるように、池口さんが何度も会場に話し掛けられ、ディスカッションも多く取り入れられました。
そのため、大変白熱したイベントになったと思います。
荒川さんがプロの写真家としてスタートされたのは、昭和43年。
鉄道史に名高い「ヨンサントオ」のダイヤ改正で、鉄道の近代化がいよいよ進んだため、現役の蒸気機関車を記録しておかなければと、強く思われたそうです。
一方、荒川さんよりもご年配の畑野さんは、「ヨンサントオ」の頃には、既に8ミリで鉄道の映像を撮り始めていらっしゃったとのこと。
事前に打ち合わせはしてあったものの、お三方のお話しは、思い出話しも含めて、縦横無尽に繰り広げられます。
話しが色々な方向に飛ぶので、池口さんが「いきなり脱線しますが…」と切り出すと、荒川さんが「脱線は危ないよ」と切り返して会場の笑いを誘うなど、トークの息も絶妙です。
荒川さんも畑野さんも、撮影のために全国各地へ行かれましたが、その際には様々なご苦労があったようです。
お金がないから夜行列車を使ったり、大変な重さの機材を抱えて行ったり。
D51の三重連を撮影するために1日掛けて現地へ行っても、列車が目の前を通り過ぎるのはわずか10秒。
会場の皆さんも、実際に鉄道写真を撮っていらっしゃる方が多く、強く共感されながら聞いていらっしゃいました。
お話しは、フィルムの保存方法へ。
時代はアナログからデジタルへと移行していますが、荒川さんがこれまでに撮影された写真は約40万点(!)。
これらを全てデジタル化するのは不可能です。
畑野さんも、8ミリフィルムでご自分の部屋が埋まっているそうです。
フィルムは年月を減ると、次第に劣化してきます。
そのため、保存には大変神経を遣われるそうです。
畑野さんは、今回弊社より、自分の撮りためた映像をDVD化して世に問えたことを、とても喜んでいらっしゃいました。
お三方の話しは余りにも中身が濃過ぎて、到底ここには書き切れません。
最後に、荒川さんが仰っていた言葉が印象的でした。
「趣味人としては、失敗してもいい。通い続けることが大事。また、いい写真を撮ればいい。」
昔は、鉄道写真を趣味にする人達に対して、鉄道会社も実に大らかに対応していたようです。
それが、一部の不届きな人のために、昨今は規制が厳しくなっています。
ルールを守って、楽しく鉄道写真を撮りましょう。
トークショー終了後は、サイン会になりました。
『甦る蒸気機関車』または『郷愁の蒸気機関車』をご持参の方に、荒川さん撮影の特製フォトカード(C62-2号機)にお三方がサインを入れて下さいます。
お三方とも、サインを入れながら、皆様と思い思いにお話しをされていました。
お帰りの際には、荒川さんのご厚意で特製の栞が配られました。
これは、荒川さんが、前日に印画紙を切って作られたものです。
予定時間が大幅にオーバーしてしまいましたが、素晴らしいイベントになりました。
ご参加下さいましたお客様、荒川さん、池口さん、畑野さん、書泉グランデさん、本当にありがとうございました。
当日参加出来なかった方も、書泉グランデさん、書泉ブックタワーさんを始め、全国の書店さんで引き続き『甦る蒸気機関車』『郷愁の蒸気機関車』が販売されていますので、是非お買い求め下さい。
今後も、弊社では様々なイベントを企画しておりますので、どうぞよろしくお願いします。